
雇用・採用で使える助成金|キャリアアップ・人材開発支援・業務改善の3本柱と、申請の順番
最終更新:2026年9月20日 執筆:みつかる補助金編集部(運営:株式会社TAGIRU)
「雇用 補助金」「採用 助成金」で探すと制度名が大量に出てきますが、中小企業が実際に使う頻度が高いのは3つに絞られます。 この記事では、その3本柱を「何をすると・いくら出るか」で整理し、失敗の大半を占める「申請の順番」を先に説明します。 後半には当サイトのデータベースからいま募集中の雇用・人材系制度244件を自動掲載しています。
この記事の内容
結論:3本柱の使い分け
| やりたいこと | 使う制度/金額の目安(中小企業) |
|---|---|
| パート・契約社員を正社員にする | キャリアアップ助成金 正社員化コース/有期→正規で1人40万円(重点支援対象者は80万円) |
| 社員に研修を受けさせる | 人材開発支援助成金/研修経費の45%(事業展開等リスキリング支援コースは75%)+賃金助成1時間800〜1,000円 |
| 時給を上げて設備・システムを入れる | 業務改善助成金/引上げ額と人数に応じて上限40万〜600万円、助成率3/4〜4/5 |
3つとも厚生労働省の制度で、経済産業省系の補助金と違い「審査で競争する」のではなく「要件を満たせば支給される」設計です。 そのぶん、就業規則・賃金台帳・出勤簿といった労務書類の整合性と、手続きの順番が厳格に見られます。
最初に知るべき「申請の順番」
取り組み開始前に労働局へ
転換制度・賃金規定を明文化
転換・訓練・賃上げ
正社員化・賃上げ後の実績
賃金支払日の翌日から2か月以内
審査後に振込
キャリアアップ助成金は、正社員転換や賃上げの「取組開始前営業日まで」にキャリアアップ計画書を提出しておく必要があります(2025年度から認定制ではなく届出制に簡素化されています)。 人材開発支援助成金も、訓練開始の1か月前までに計画届を出す仕組みです。どの制度も「思い立ったらまず労働局に計画を出す」が最初の一手になります。
キャリアアップ助成金(正社員化で1人最大80万円)
有期雇用・短時間・派遣といった非正規労働者の処遇改善に対する助成金で、令和8年度は次の6コースで構成されています。
| 正社員化コース | 有期→正規:40万円(重点支援対象者は80万円)/無期→正規:20万円(重点支援対象者は40万円)。いずれも中小企業・1人あたり |
|---|---|
| 障害者正社員化コース | 障害のある有期・無期雇用労働者を正社員等に転換 |
| 賃金規定等改定コース | 非正規の基本給の賃金規定を3%以上増額改定。増額率に応じて4区分 |
| 賃金規定等共通化コース | 正社員と共通の賃金規定を新設・適用 |
| 賞与・退職金制度導入コース | 非正規に賞与または退職金制度を新設し支給・積立 |
| 短時間労働者労働時間延長支援コース | 令和8年度新設。短時間労働者を社会保険に新規適用させ労働時間を延長。30人以下の小規模企業は1年目最大50万円、2年目最大25万円 |
正社員化コースの「重点支援対象者」は、雇入れから3年以上の有期雇用者や、派遣労働者・母子家庭の母等・人材開発支援助成金の訓練修了者などが該当します。 人材開発支援助成金で訓練を受けさせた後に正社員化すると、この加算の対象になる設計になっており、2制度を組み合わせる使い方が定番です。
注意:正社員化コースは、雇入れから1年未満の新規学卒者は支給対象から除外されています。また転換後6か月の賃金が転換前6か月より3%以上増えていることが要件です。
人材開発支援助成金(研修費の45〜75%+賃金助成)
従業員に職務関連の訓練を計画的に受けさせた場合に、訓練経費と訓練中の賃金の一部が助成されます。令和8年度は7コースありますが、中小企業が主に使うのは次の2つです。
| 人材育成支援コース | 経費助成45%(中小企業)/賃金助成1人1時間800円(要件充足で1,000円)/1事業所あたり年間上限1,000万円。OJTとOFF-JTの組み合わせや、有期雇用者の正社員化を前提とした訓練も対象 |
|---|---|
| 事業展開等リスキリング支援コース | 新規事業やDX・グリーン化に伴い必要になる知識・技能の訓練。経費助成75%(中小企業)/賃金助成1人1時間1,000円/年間上限1億円 |
| 人への投資促進コース | デジタル人材・高度人材の育成、自発的な学び直しの支援など。年間上限2,500万円 |
| 計画届 | 訓練開始日の1か月前までに労働局へ提出(6か月前から受付) |
AIツールの社内研修や、新しい業務システムの操作研修は「事業展開等リスキリング支援コース」の典型例です。研修費の3/4が戻り、研修中の給与にも助成が付くため、社内のデジタル化と同時に進めると負担が大きく下がります。 直近の改定で1人あたりの経費助成上限額は引き下げられているので、金額は最新のパンフレットで確認してください。
業務改善助成金(賃上げ+設備投資で最大600万円・11月30日まで)
事業場内で最も低い時給(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上のための設備投資等を行った場合に、その投資費用が助成されます。 令和8年度は従来の4コース(30円・45円・60円・90円)から3コース(50円・70円・90円)に再編され、対象事業場も拡大されました。
| 対象事業者 | 中小企業・小規模事業者で、事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金未満の事業場(従来の「差額50円以内」から拡大) |
|---|---|
| 助成率 | 引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満:4/5/1,050円以上:3/4 |
| 助成上限額(30人未満の事業者) | 50円コース:1人40万円〜10人以上130万円/70円コース:1人50万円〜10人以上300万円/90円コース:1人100万円〜10人以上600万円 |
| 対象経費 | 機械設備、POS・受発注などのシステム導入、システム開発委託、経営コンサルティング、従業員研修など。合計税抜10万円以上 |
| 申請期間 | 2026年9月1日〜地域別最低賃金の発効日前日または11月30日のいずれか早い日 |
この制度の本質は「賃上げの原資を、業務効率化への投資で作る」ことです。時給を90円上げる代わりに、受発注や在庫管理を自動化するシステムを4/5の助成で導入する、という組み立てができます。 雇用の助成金の中では珍しく、システム開発委託が対象経費に明記されている制度です。
申請期限が地域別最低賃金の発効日前日で切れる点に注意してください。多くの都道府県で10月に発効するため、実質的な締切は9月末〜10月中旬になる地域があります。
共通の前提条件と対象外になるケース
| 雇用保険の適用事業所 | 3制度とも、雇用保険に加入している事業所であることが前提です |
|---|---|
| 労働保険料の滞納 | 滞納があると支給されません |
| 解雇の有無 | 支給申請日の前日から起算して6か月前〜1年前の間に、事業主都合の解雇をしていると対象外になる制度があります |
| 労務書類の不備 | 出勤簿・賃金台帳・雇用契約書・就業規則の内容が矛盾していると不支給。残業代の未払いが見つかるケースが典型です |
| 取り組みが先 | 計画届より前に始めた転換・訓練・賃上げは対象外です |
| 不正受給の履歴 | 過去に不正受給があると一定期間すべての助成金が受けられません |
いま募集中の雇用・人材向け制度(2026年9月・締切が近い順)
上の3本柱は通年で申請できる厚生労働省の制度です。ここには、それ以外に都道府県・市区町村が独自に募集している雇用・採用・人材育成向けの制度を、当サイトのデータベースから自動で掲載しています。
雇用・人材の募集中244件をすべて見る →よくある質問
雇用の助成金は誰でももらえますか?
厚生労働省系の助成金は要件を満たせば原則支給される設計ですが、雇用保険の適用事業所であること、労働保険料の滞納がないこと、直近で解雇をしていないことなど前提条件があります。また、取り組みを始める前に計画届を出す順番を守らないと対象外になります。
人を1人採用するだけで助成金は出ますか?
「採用したこと」自体に出る助成金は限られます。多くは、有期雇用から正社員への転換(キャリアアップ助成金)、訓練の実施(人材開発支援助成金)、賃上げと設備投資(業務改善助成金)のように、採用後の取り組みに対して支給されます。
キャリアアップ助成金の重点支援対象者とは何ですか?
正社員化コースで加算の対象になる区分です。雇入れから3年以上の有期雇用労働者や、派遣労働者・母子家庭の母等・人材開発支援助成金の訓練修了者などが該当し、中小企業の場合は有期から正規への転換で1人80万円(それ以外は40万円)が支給されます。
業務改善助成金は何に使えますか?
事業場内の最低賃金を50円・70円・90円のいずれか以上引き上げることを条件に、生産性向上のための設備投資(機械、POS、システム開発委託、経営コンサルティング、研修など)の費用が助成されます。助成対象経費の合計は税抜10万円以上が必要です。
助成金と補助金は何が違いますか?
厳密な法的定義の違いではありませんが、厚生労働省系の「助成金」は要件充足で支給される制度が多く、経済産業省系の「補助金」は審査で採択・不採択が決まる制度が多い、という運用上の違いがあります。どちらも返済不要で後払いです。
社労士に頼まないと申請できませんか?
自社申請は可能です。ただし就業規則の整備や賃金台帳・出勤簿の整合性が厳しく確認されるため、労務書類が整っていない場合は社会保険労務士に相談したほうが結果的に早いことが多いです。申請代行ができるのは社労士のみです。
賃上げの原資を業務効率化で作りたい方へ
業務改善助成金の対象経費には「システム開発委託」が含まれます。勤怠・シフト管理、受発注、日報の自動化など、人手の作業を減らして時給を上げる投資の相談を、当サイト運営の株式会社TAGIRU(システム開発会社)が無料で受けています。 助成金の申請手続きは社会保険労務士の領域のため、当社は開発の設計・見積の内訳作成までを担当します。
出典・参考(一次情報)
本記事は2026年9月20日時点の公表情報をもとにしています。支給額・要件は年度途中でも改定されるため、申請前に必ず厚生労働省の最新パンフレットと管轄労働局の案内をご確認ください。